題名の"PITCH BLACK"は、"真っ暗"という意味だそうです。
♪何から何まで真っ暗闇だ~っ♪というワケですね。
そういえば、♪バカとアホーの絡み合い♪もある様な.....?
しかしながら、映画そのものの中身は"光明"に溢れていました。
冗談はさておき、この映画は、successfulでした。
まさに、工夫の産物でしょう。どちらかといえば、低予算でしょうしね。
監督の計算が実に見事にハマっています。
劇中の前半を"陽"、後半を"陰"とした対比のコントラストも際だっていましたね。
制作側も狙い通りの仕上がりで完成の際には、してやったりと思ったのではないでしょうか?
簡単に言ってしまえば、映画"エイリアン"の惑星不時着版ですよね。
巧みな脚本の妙で、 冒頭から飽きさせられることがありません。
ダルになる部分がないというのは正直凄いことです。
いってみれば、映画そのものの緩急のリズムに長けているということでしょう。
唯一、主人公リディックのみが暗闇で目が見えるとした設定にも唸らされます。
ハラハラドキドキの展開には素直に最後までひっぱられましたね。
不時着惑星の景観において、煙突が突き出たような、あるいは恐竜のような死骸等の謎を投げかけておき(画面的にはイカにもイカにもではありますが。)解き明かしとともに、たたみ込んでゆく演出も小気味よいです。
乗組員の古物商がウィスキーだかバーボンだかを火に吹きかけて光を放つのも、その後の仕掛けにつながっていくのにも関心させられました。
とはいえ、生存乗組員達の個々の性格もクセがなくイヤにサッパリし過ぎな感もあり、もっと各々にアクが強く絡めばとも思いますが、リディックの存在感を重視すればこうあるべきなのかもと納得できなくはありません。
そのリディックのキャラクター像も悪を前提としても、時に正義漢ぶるところもあったりその不明瞭さ難解さに理解できない部分もありますが、そこに魅力を見いだすのも人の常かとも考えられたりします。他の登場人物達も不可解な行動を起こしたりしますが、極限サバイバルにおいての人間の心理状況ゆえということとすればそれもまたヨシとすべき範疇なのかも知れません。
個人的にはヴィン・ディーゼルもトリプルX、ワイルド・スピード等を観てそうも好きではない男優なのですが、このリディック役では大いに好感が持てました。
乗組員達を見捨て、とん走する彼の後ろ姿もヤケに印象深いものでしたし....。
只、船長代行の女性パイロットが最初は客を荷物として放り出そうとしていたのに、最後に人間愛に目覚めてしまうというのは、ご都合主義でしょう?
しかしながら善問答を真剣に考える映画じゃないと思いますしね。
ツマらないか? オモシロいか? それが命題とすれば、間違いなくオモシロい !
他に何が必要とされるのでしょうか?
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2000年度作品 ★★★★★ [最高は★五つ]
監督 DAVID TWOHY 配給 Universal Pictures