私が、今一番注目しているギレルモ・デル・トロ監督作品である。
彼を気にかける様になったのは、MIMIC(ミミック)を観てしまってからであるが、その緊迫感ある構成手法に一級の"センス"を感じたからに他ならない。
グロテスクではあるが、サスペンシヴに煽り立てるスリルフルな演出、一転して凍り付くような静寂の妙、テンポの良さやダレのない画面構成など感心する事しきりであった。
映画そのものは、例えばクローネンバーグ監督の"THE FLY"より、よくできていた。
しかし、HELLBOYに関しては、イマヒトツという気はするのである。魅力はあるのだが何かハグラサレ感が拭えない。歯切れもイマヒトツという感じである。
デルトロ監督の非凡さは時に発揮されタダ者ではない才能の片鱗を覗かせてはいるが、例えば欠けていた要素、それは恐らくMIMIC(ミミック)が持っていた"強烈さ"ではなかろうか?
HELLBOYは、イイ感じである。ロン・パールマンは、この役を巧みに演じきっている。彼こそ豪快にしてHELLBOY !そんな感じだ。
エイブ・サピエンは、興味深いキャラクターだし、コミカルに見えてその実、辛辣である。映画の中でその存在感をしっかり不動のものにしている感さえある。どこかSTAR WARSのC3POみたいだ。
リズは、実際HELLBOYより強そうです、本当に恐ろしい能力者でもしかしたら劇中、オグドル・ヤハドも超えて最強じゃないでしょうか?震えがくる程です。
でも、メイキングで観たら結構素敵な女優さんですね。劇中、病的でいかにも不健康そうなのは役に忠実ゆえという事でなんでしょうね? 流石です?
クロエネンの異様さも群を抜いている。トンファー技も卓越しキワだっている。まぁ、キャラクターが良いのは無論原作譲りなのだろうが。
全体的にもっと展開を次から次へとSpeedyにタタミこんでも良かったのでは? 地下鉄廃墟の攻防などは、MIMICをひきずる様で、個人的には好きなのだが。
今後、この監督は何編かは名作を必ず残すと確信してますし、彼の場合まず期待が高いので評価は常に辛めになってしまいます。
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2004年度作品 ★★★ [最高は★五つ]
監督 GUILLERMO DEL TORO 配給 SONY PICTURES