期待度150%で臨んだ今作ですが、EVOLUTIONというよりもUNDER WORLDー愛の逃避行ーって感じですかね?
肩透かしをくった印象が拭えませんでした。待ちに待った一本だったのですが....。
なによりセリーン役ケイト・ベッキンセールが、なにかキャラだちしてなく少々魅力減でした。
前作では、困惑や不安さを体現した巧みな演技に注目していたのですが、魅せどころを与えられなかった部分もあったでしょうか?
クールな女処刑人の苦悩というより、ひたすら護身の為の受け身の戦闘になってしまったのがマイナスだったかも知れません。
レン・ワイズマン監督自ら、なにを描きたかったのか、焦点定まらずという印象です。
前作は、ともかくも全体を包み込むスタイリッシュな雰囲気がキワだっていたのですが、本作は淡々と話が進み、とりとめがない感じで終始した感じです。
アクションは、より以上なのかも知れないのですが、仕掛けるタイミングが悪いのか驚愕する程にも効果的でない気がしました。
公開をR15指定にしてまでの製作意義も全く見いだせませんでしたね。
強いのか弱いのかよくわからない吸血鬼の祖たるマーカス卿がキーパーソンですね。
彼を中心に展開するのも悪くないと思えるのですが、前半は異様で惹きつけられるのですが後半どうってことなくなってしまっています。
とはいえ、翼のギミックには少々感心しました。吸血鬼としては珍しいというだけなのかも知れないですが。
その前半の追走劇も、映画"ヴァン・ヘルシング"に被るイメージが見受けられいささか興醒めでした。シーンそのものは、よくできているとは思うのですが....。
しかしながら、マーカス卿を演じるトニー・カランは、なかなか存在感のある男優で感心しました。
クリアな演技で、本編主役級を見事にこなしているとは思えました。
狼男(ライカン)の祖たるマーカス卿の弟ウィリアムは、制御不能の凶暴さゆえ幽閉と煽っておいて、単に"ぬいぐるみの狼さん"に見えてしまうのは、もはや投げだしでしょうか? お粗末に見えて、しょうがありませんでした。コンセプト・アート等、舞台裏の工夫やエネルギッシュな努力は凄いのですが、肝心の画面に存分に反映されている気がしないのが残念でたまらない。マイケル・コーヴィンも、パワー無限の最強の混血種だった筈なのに全然弱かったのは理解できない。
此処というところでボルテージが高揚せずに、前作と同じようなシーン設定が最後にきたのも工夫が感じられず焼き直しに見えてしまいます。
ラストは、BLADE2を観ている様な錯覚を覚えてしまい、こちらが焦ってしまいました。
前作のキレを感じ得なかった。2の定説を見事に実証してしまった。そんな感じです。
"金が映画を傑作にする"という訳じゃないという事が改めてよく理解出来ます。
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2006年度作品 ★★ [最高は★五つ]
監督 LEN WISEMAN 配給 SONY-PICTURES-ENTERTAINMEN