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UNDERWORLD

ケイト・ベッキンセールが最高!! 

 

美しきヴァンパイアが主役の物語というなら、パズルのようにピッタリはまったと思える。

女処刑人らしくボンテージ・ファッションも文句なくバッチリ決めている。

<パール・ハーバー>では、思い出してもろくすっぽ思い出せない希薄な印象なのだが、この映画では素晴らしくイカシているし、存在感に満ちあふれている。

"セレーン"は、彼女以外では演じて欲しくないとさえ思える。

これからしばらく彼女は、さしずめ<女版>初期のジョニー・ディップみたいな位置づけを成すのではなかろうか?

 

吸血鬼の長老ビクター役ビル・ナイも的を得ている。いかにも吸血鬼っぽい風貌で、かつ風格も高そうで貫禄十分のハマリ役であろう。

ライカン(狼族)のリーダー、ルシアン役のマイケル・シーンも、いい意味でアクが強く非常に個性的な役者だと思うが、出演する映画を選ぶのが難しそうな強烈さだ。

 

ガン・アクションも安っぽさは感じさせない。銃の重みが、射撃の後の反動が、地面に散らばる空薬莢の音さえ画面からリアルに伝わる。

ベレッタによる三点バースト連射も迫力あり小気味がよい。

なによりSFXに頼り切らず、アナログの演出をも意識的に敢えて取り入れている姿勢にも好感がもてる。

 

映画のつくりも"私好み"だ。

全編に渡る統一された渋い、ブルーがかった画面が秀逸だ。

感心する程の巧みな音響<音像と言いたい>効果(心臓の鼓動音、鐘の音、咆哮など)もリアルで非常に凝った録音である。

ミキシングにも、相当数の時間をかけているのではないだろうか? このへんは、レン・ワイズマン監督がMusic Video出身ゆえの成せる技なのであろうか?

STORYが展開するテンポもダレがなく、スピーディーにリズムよく移行する。

予算なきゆえの城での撮影だったというが、チープさを感じさせぬ方向に効果的に働いたのではなかろうか? 画面の空間や奥行きも平板から脱するのに成功している。

 

ただ、クライマックスで何世紀にも渡る不敗のヴァンパイアの長老が、只の一閃であっという間に倒されてしまった経緯は納得できない。

あまりに、呆気なさ過ぎであろう。ラストのアクションにもっと工夫やひねりが欲しかった。

 

ライカン(狼族)は、変身するのに、ヴァンパイアは何故変身できなかったのか?

あるいは変身を何らかの理由により封印されていたのか?

その謎は、続編で解き明かされるのか? 興味は尽きない。

 

来年初頭に公開予定のUNDERWORLD-EVOLUTION-には、前作の上をいく更なる傑作を期待せざるを得ない。

もう、今から"ケイト・ベッキンセール"の"セレーン"に再び逢いたくて、待ち遠しくてたまらない !

 

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2003年度作品    ★★★★ [最高は五つ]

監督 LEN WISEMAN  配給 GAGA-HUMAX