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BLADE RUNNER 2049

正直、これがBLADE RUNNERの番外編のエピソードのひとつというなら、それなりの価値はあるし評価し楽しめただろう。

けれど、あのBLADE RUNNERの続編 2だというなら明らかに物足りない。

ハリソン・フォードが出演する意義があったかも疑問だ。

 

前作のエレメントを散在させれば、続編になるというのは、あまりにも安易だ。

それすらも傘が現代のそこらのコンビニ仕様とかは、ないでしょう。

が、折り紙師ガフの登場には、正直懐かしさに少々心踊った。

 

まず主演がミスキャストでしょう。

La La Landの彼はとっても良かったが、その役柄はイマイチ冴えないヤサオトコのジャズメンだった。タフでクールな汚れ役のブレードランナーとしては線が細すぎシルエットも頼りなげだ。そのイメージは、あまりにもかけ離れすぎていると感じざるを得なかった。

 

そもそもルトガー・ハウアーが欠落している時点で、この続編の完成度はただでさえ半減する。アーノルド・シュワルツェネッガーの出ないTERMINATORみたいに...。

 

比して敵役のウオレスは、なかなかの存在感だったが単なる人物紹介で終わったみたいな感じで消化不良もいいところだ。勿体振って登場したわりに何をしたのかよくわからない。

 むしろラヴの方に存在感があったが、物語のなかでのポジションが不明瞭な気がした。手強い手下Aみたいで終わってる。

 

女性監督官の「世界は滅びる」というより、自分の役職が危機にさらされ失われるという保身的ないかにも嫌らしい上から目線の官僚的演技は、存在感も含め良かった。けれども、そのわりにあっさりラヴに執着心なく抵抗少なく殺害されたのが、全く理解不能だった。

 

人が創り出した“モノ“は、それがどのような進化を遂げたとしても、或いは同等以上の存在になったとしても、人とは認めないだろう。それを阻止しようとするのは、人本来の持つ傲慢さゆえだ。

 

それぞれの登場人物に実在感や深みが感じられないのは、監督の才気の無さと捉えられても致し方ないだろう。

 

ましてやスピナーの空中戦などが展開される時点で至って普通の映画になってしまった。その世界観もイマヒトツ。唯一キュートなAIホログラムの実体のない思いの切なさは目新しく収穫のひとつであったかもしれない。

 

前作には、レプリカントの狂おしいまでの"生"への渇望という克明な哲学があった。

この映画への続編として期待値が高かった分、どうしても辛口になってしまうが、イチゴの乗ってないイチゴ・ショートケーキみたいな印象が残念でした。

 

冒頭の解任される農民の役者は、本職プロレスラーのようですが、重みある演技で感心しました。やはり根っからのショーマンなのですかね...。

 

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2017年度作品       ★★★ [最高は五つ]

監督 DENIS VILLENEVVE  

配給 SONY PICTURES ENTERTAINMENT Inc.